たとえ話 allegorical story 2004 5 21
仏教には、「蛇縄麻」という教えがあります。
大昔は、街灯がなかったので、
日が暮れる頃には、真っ暗となります。
こうした夜道を、一人で歩いていると、
普通の人は、心細くなります。
ある人が、夜道を、急いで歩いていると、
道に、何かがあると気づいて、恐る恐る見てみると、大きな蛇だった。
恐怖に捕らわれて、逃げ出すように走り出した。
さて、次の人が、同じ道を歩いていると、
道に、何かがあると気づいて、よく見てみると、太くて長い縄だった。
どうして、こんなところに縄が落ちているのだろうと思った。
さらに、次の人が、同じ道を歩いていると、
道に、何かがあると気づいて、よく見てみると、麻で編まれた縄だった。
この縄は、麻で作られていると分析した。
「蛇縄麻」とは、「蛇」と「縄」と「麻」のことです。
客観的に見れば、「縄」という物体があるだけです。
しかし、恐怖に捕らわれた人には、「蛇」に見え、
平静心がある人には、「縄」に見え、
知恵がある人には、「麻」で編まれた縄に見えるのです。
この話を聞いて、
「縄を、蛇と勘違いするなんて、愚かなことだ」と思うでしょう。
しかし、誰でも、同じようなことをやっているのです。
たとえば、最近(2004年5月)、話題になる「金利上昇懸念」があります。
「金利上昇」という言葉を聞いただけで、おびえてしまう人がいます。
次に、「金利上昇」という言葉を、冷静に受け止める人がいます。
さらに次に、過去の「金利上昇のパターン」を調べ、
今回の金利上昇を予測し、
それほど、金利上昇は心配することではないと判断する人がいます。
何が言いたいのかというと、
いたずらに、恐怖に捕らわれてはいけないということです。
恐怖を感じるならば、その恐怖を分析することです。
そうすることで、恐怖は、消えます。
「恐怖心の克服」は重要なことです。